お住まいになってから17年が経ち、その間数社の施工により、徐々に形を変えていったお庭。お子様も自立する年齢になり、今回が最後のお庭のリフォームをという事で、全面的な見直しのご依頼いただきました。
海まで歩いて5分という立地。道路に面した玄関周りと敷地の奥に位置するお庭、それぞれをつなぐ通路部分のご提案をさせて頂きました。
メインとなるお庭は、経年変化に加え、潮の影響と周りを住宅に囲まれている関係で、少しジメッとした印象でした。今後のメンテナンス性も考慮し、ドライな印象のすっきりとしたタイルテラスに作り替えるご提案をさせて頂きました。お庭の空間構成としては、コンクリート製の作り付けのベンチ(屋外用のクッションを置くことでソファに)と環境に配慮した燃料(バイオエタノール)を使用した暖炉を設えた「リビングエリア」と隣地の印象を和らげるパーゴラにタープを掛け、その下にお持ちのテーブルと椅子を配置した「ダイニングエリア」で構成されています。植物好きなご夫婦なので、すっきりした中にも彩りとしての植物が加わるように、ベンチの後方に花壇をつくり、量は抑えながらも植物に囲まれたプライベート感のあるお庭を目指しました。チュウキンレンやアガベなど個性的な植物が並びます。
玄関周りは、ブロック壁と木製ゲートによりクローズな印象だった外構を、茅ヶ崎という立地を考慮し、オープンな外構に変更しました。スチールの縦ルーバーや手すりに植栽を加えて道路と緩やかに仕切り、洗い出しで舗装した小径の両サイドには目線を遮る大小の植栽を配置しています。オープンな外構にした事で、フロントガーデンとして通学中の小中学生やお散歩しているご近所の方々にもお楽しみ頂いております。。
開かれたフロントガーデンとプライベートなタイルテラスの空間を切り替える役目を担っているのが、収納小屋と温水シャワーの機能を有した天井ルーバーのついたウッドデッキスペースです。小径から1段上げた高さにウッドデッキを設ける事で、小径とテラスの高さをつなぐステップにもなっています。マテリアル感としても、既存の建築とのバランスを考慮したフロント周りの雰囲気と新しく加えたモダンですっきりとしたテラス部の雰囲気の切り替わりを繋ぐ役割も担っています。
お伺いする度に、それぞれの構造物に奥様がお好みの雑貨を吊るしたり、季節に合わせてディスプレイしたりと、楽しんでいただけている様子が窺え、とても嬉しく感じます。
今までライフスタイルの変化に応じて、姿を変えて寄り添ってきたお庭。この後も長くお住まいになるご夫婦はもちろん、独立される娘さん達が新しいご家族と共に集まれる空間として、これからも思い出がたくさん生まれる空間になってくれる事を願っています。
表参道の路地を入ったところに立地するアパレルセレクトショップのファサードとコートヤードの植栽。
主にイギリスのプランドを扱うショップのイメージをさりげなく感じてもらうため、イングリッシュガーデニングのように様々な種類の植物を用いつつも、全体のトーンはナチュラルで落ち着いたものになるよう植物のセレクトを行っています。
コートヤードは表参道のメインストリートに隣接しており、その喧騒からの緩衝壁の機能を担えるよう、高さ3m前後で管理するタイサンボクリトルジェム、ビバーナムリチドフィラム、ナギ、キョウチクトウ、シマグミ、レモン等葉が密に茂りつつも、変化に富んだ個性豊かな常緑樹により、緑に包まれるような空間となっています。
葉山の二子山の麓、はるかに望む海と緑豊かな山に囲まれた絶好のロケーションに立つ住宅の外構計画。
建築家さんのご紹介で、建築計画段階から参加させて頂きました。
自家用車・来客用車・バイク・自転車がとめられる機能性を持たせつつ、緑豊かなお庭を通るアプローチ計画をご提案させて頂きました。少し大回りになる動線計画でしたが、普段の生活の中で、よりお庭を身近に感じて頂ける豊かなアプローチができたと思います。
アプローチには元々この土地にあった飛石を使用し、目地にダイコンドラの種をまく事で、既存のままの庭にスッと馴染んでくれています。
植栽構成としては、山々の豊かな緑を背景に、元々庭に植わっていたモミジやヤマモモを庭の骨格として残し、家に近い部分にのみ新たに植栽を加える事で、室内から見た時の植栽の奥行き感を感じて頂ける様に計画しました。
窓前の植栽は、道路からの視線を柔らかく遮る効果も期待できます。
建築計画段階からお声掛け頂けた事で、アプローチと庭の関係性や残置する既存樹の選定、現地に転がっていた多くの石の扱いなど無駄なく、より豊かに活用できる計画にすることが出来ました。
まだ、広いお庭には既存フェンスの更新や植栽の追加、ファイヤーピットの設置などこれからの部分も多く残されています。
そんな中お引越し後には、ハンモックを吊り下げたり、菜園枠をDIYしたりと、早速庭の楽しみが少しづつ広がっている様です。
暮らしながら、生活に合わせて少しづつ変化していくお庭。
とても贅沢な暮らしで羨ましい限りです。
設計:木名瀬佳世建築研究室
写真:安田誠(一部除く)
材木倉庫をリノベーションして作られた複合施設。
ファサードに面した植栽帯に山堀りの植木やつる植物を中心に野趣的な植木をその動きの絡みとトーンを合わせながら、一体的な面となるような構成で植栽を行っています。
ライフスタイルショップ、カフェ、スタジオ、オフィスと用途は様々に異なる内容へと様変わりしていますが、
材木倉庫だったころの面影も引き継ぎつつ、また新しい時間の流れが、植物の芽吹きと共に紡がれてゆきます。
海を望むロケーションで別荘として利用されている物件。
新築より20年近く経ち、大部分の芝生や草木を植えていた広い庭も、海からの潮の問題や別荘で滞在する時間が限られていることも相まって管理に限界を感じ、持て余し気味にしていたため、経年の痛みが出ている部分のケアと共に管理の手間のかからない形にリフォームしたいというご要望でした。
余裕のある広さや海を望む景観などの特性をベースに、改めてオーナー夫妻、子供世代、孫世代と利用されるシチュエーションを多様に想定して行くことで、今までほぼ1面として認識されていた場所にいくつかのエリア分けを作り、その役割に合うような舗装を施してゆくことで積極的に活用しやすい形を作ることが日々のメンテナンスの問題解消にもなるよう構成してます。
またその一環として悩みの種でもあった植物も、無くしてしまうのではなく、楽しみとして無理なく付き合って行けることを考慮した植栽エリアを維持計画と併せて提案させていただいています。